今回答えてくれるのは―
児童発達支援事業所
「ことばとこころの支援室 にしまち」
言語聴覚士
森田 愛さん
成人を対象としたことばのリハビリの経験を活かし、現在はお子さんの相談、支援に関わらせていただいています。
はじめまして。私は、児童発達支援事業所「ことばとこころの支援室 にしまち」でお子さんのことばの育ちのお手伝いをさせていただいている言語聴覚士(通称ST)です。あまり聞き覚えのない職業かもしれませんが、①ことばやコミュニケーション、②食べる・飲むこと、③聞こえ、をサポートするお仕事です。
今回、ことばの発達について、ではなく親御さんへ「やらなきゃ、を少し手放す」という提案ができればと思います。お気軽に読んでいただけると幸いです。
私自身の育児を振り返ると、特に1人目の子どもの育児はわからない事ばかりで、かわいさだけでなく、不安がたくさんありました。2人きりの家の中、赤ん坊が何をしても泣き止まず、子どもを投げてしまいたくなるくらいイライラしたこともありました。そんなある日、生後間もない長女をふと見ると、初めて両手を胸の前で合わせることができた瞬間でした。自分の両手を見つめながら、足をバタバタさせて喜んでいました。育児に不安だった私は「ああ、子どもは自分で育つ力を持っているんだなあ」と感動したのでした。
今は、SNSなどからも情報が入ってきて「〇歳までにこれができなきゃ」「そろそろこれをさせなきゃ」と不安になるという声をよく聞きます。「関わり方が悪かったかも」と罪悪感をお話される親御さんもおられます。
私の尊敬するSTの中川信子先生の「食べさせて、着せて、寝かせて大きくする。親の務めはただこれにつきる」という言葉があります。ことばの発達の土台は、規則正しい生活、まずそれでOKという事です。子どもは自分で力を持っているから、規則正しい生活を土台に、体を動かして遊んだり、コミュニケーションの楽しさを経験したりしながら、それぞれのペースでことばを学んでいきます。
子育てに正解も間違いも、失敗もありません。なので、皆さんには「いい親にならなきゃ」「~やらなきゃ」を少しずつ手放すことをおすすめします。家事も手抜きをして大丈夫(笑)。少し空いたその時間、「自分のため」に心地よくなる事や心から笑える事をしてみてはいかがでしょう。推しの曲を歌う、ぼーっと空を見る、やりたかった事をやってみる。自分に優しくすることは、実は何よりも大切だったりします。罪悪感を持たず、トライしてみてください。ちょっと力を抜くと、周りにいる子育ての応援団に気づくかもしれません。私たちの事業所でも、お子さんのことばやコミュニケーションのご相談をお受けしています。お子さんのすこやかな成長とご家族の幸せを心より応援しています。
子育ての現場からとは
子育てをしていると、子どものことやママ自身のことなど、とにかく悩みは尽きません。そんな悩みを抱えているママに向けた、解決のヒントをご紹介します。
様々な回答者の、経験から培った考え方に触れて、行き詰まった時の参考にしてみてくださいね。