第4回 ドイツの 「子連れファースト」が 持つ本当の意味(全6回)

エシカルライフ

 

ドイツで子育てをできてよかったと思うことの一つに、子連れファーストが挙げられます。

ベビーカーを押していると、とにかく最優先、どんな列でも先頭に並ばせてもらえます。

今の日本なら子育て政策も浸透して、子連れファーストは当たり前になった気がしますが、何しろ30年前の日本ではベビーカーは邪魔とさえ言われることもあったので、ひたすら驚きの連続でした。さらには、ベビーシッター付きの市民大学があり、半年2,000円程度で受講することができました。私は外国人向けのドイツ語や民俗学などの講座を受講し、そのひと時は赤ん坊が泣くことを気にすることもなく、同じ興味の新しい仲間と一緒に新しいことを勉強して視野を広げることができました。

また、マルクト(青空市場)の肉屋さんに行けば茹でたてのソーセージを、八百屋さんではその場で皮をむいたバナナを、ほとんど毎回、幼稚園児の息子に渡してくれました。息子の目線まで姿勢を低くして「ビッテ(どうぞ)」という言葉とともに、息子が「ダンケ(ありがとう)」というまで目を見て待ってくれるのです。レストランでは、お子様ランチにおまけのおもちゃは無いかわりに、お店の人がキャンディーをこれまたじっと目を見て、モジモジする息子が「ダンケ」というまで待ってから手渡し。親である私にではなく、時間がかかってでも息子に直接コミュニケーションを求めるその様子が、一緒に子育てをしてくれているようにも感じられたものです。

今の日本では子連れファーストは当たり前になってきていると思います。だた、それはどちらかというと、子どもに寄せた商品やサービスで大人を釣るマーケティング戦略の一環で子連れファーストというより子連れターゲットかも、と感じるのは私だけでしょうか。ドイツのお店の人や、道行く知らない人は、子どもをただかわいがるというよりは、一緒に子どもへの責任を果たす態度だったと思えます。

 

ある時、自転車に乗る息子と一緒にいた時、前方から歩いてきた女性が息子に道の向こうを指さして何やら怒鳴っていました。よく聞くと「ここは歩道!自転車は反対側通行でしょう?」と諭しているのでした。その時は「親と一緒だし、子どもなんだから少しルールと違ってもいいじゃない?」と憤慨してしまいました。が、後になると、その女性が見てみぬふりをしなかったからこそ、外国でも安全に暮らす知恵が身についたと考えると、一緒に子育てを担うというのは大げさではないと言えるでしょう。憤慨ではなくてダンケと返すべきだった…。

子育てとか教育って、親や学校だけがするものではなくて、社会みんなでするもので、それが本当の子連れファーストと言えるのかもしれません。

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