ドイツに住んで驚いたことの一つに、子ども向けのテレビ番組が7時以降にはないこと。とにかく、子どもは8時にはベッドで熟睡しているべきものという暗黙のルールがありました。
幼児連れが平日の夜中でもスーパーやファミレスにいる姿が当たり前の日本との違い…。
隣の家に住んでいた家族は共働きの子育て夫婦。
ママは夕方4時に仕事が終わると子ども2人を保育園から連れて帰宅。コーンフレークとフルーツで簡単な夕食を食べさせる。パパが帰ってきて4人で近所の遊歩道を散歩。7時には子ども2人を簡単にシャワー、そして「おやすみなさい」。
初めのころは、子どもたちの食事が質素すぎでは?と批判的にみていました。
でも、そういえばドイツ人の家に夕食に招かれても、ハムとチーズにワイン程度でとにかく簡単。しかも「万が一、スープが出てきたら大歓迎のしるし」だと知ってからは、むしろ日本の食事が「食材〇品目以上」とか、「毎日メニューが違って当たり前」とか、良くも悪くも豪華なのだと気がついたのです。
日本では、子育て中のバタバタ感の中の「ご飯ちゃんとしなきゃ」の圧が半端ない。
ただ、ドイツの食事がいつでも簡単と言うのではなく、休日には親子で一緒に食事を用意したり、祖父母や知り合い大勢で、BBQを楽しんだりと、メリハリ重視。
食事のメニューよりもむしろ、食後の親子そろっての散歩(ドイツ人は、子どもが高校生くらいになるまで、晴れの日も雨の日も夕食後はこぞって家族で散歩している)や、じっくり親が勉強に付き合う、など子どもと向き合う時間をしっかりとります(仕事も4時には終わるし、職住接近が基本なので可能)。
小さな子どもが駄々をこねても頭ごなしに叱るのではなくて言葉で丁寧に説明し、子どもの「なんで?」に納得いくまでじっくり話し合います。かと言って、子どもとべったりの生活かと思いきや、子どもが寝る8時を過ぎれば、大人の時間へ切り替え。
シッターさんが来るのを待って、2人でおめかしして食事やエンタメに出かけることもあれば、それぞれの趣味やスポーツクラブに行くことも。
ママやパパという役割だけでなく「自分」の時間をしっかりとり、子育てだけで一日を終わらせない。大人が、仕事や社会的な役割だけではなく、個として人生を楽しむ姿は、たぶん子どもたちの人生観にもポジティブに影響を与えているはず。
ドイツのお隣さんは、子どもの生活リズムは大人時間のためでもある、と教えてくれたのでした。