思春期の性、パートナーとの性、子をもつ親としての性。人として生きていく上で一生つきあう「性」ですが、普段の生活の中では秘め事として誰かに相談する機会はないという人が多いのではないでしょうか。一方で多くの人が問題を抱えている実態も。子育て中のママも他人事ではありません。自分自身、そしてわが子を守るために性のリアルを知ることで見えてくる子育てとは?
産後ケアやわらかい風の代表川口映子さんと、ベテラン助産師さん3名にお話を聞いてきました!
産後ケアやわらかい風での活動の他にも助産師さんとして出産や子育て、妊娠相談などでたくさんの女性に接してきた皆さんですが、今気になっている事は何でしょうか?
川口映子さん(以下川口さん)今まで関わってきた多くの女性に伝えてきたのは「自分の体」への考え方。妊娠って女性しかしないものだから、大切にしてほしいって思う。私が以前勤めていた産婦人科の産前教室では「自分のおまたを鏡で見ていますか」って指導していたのよ。
K子さん へえ、初めてきいた。
川口さん 命が産まれてくる場所なんだから、顔にメイクをするようにもっと自分自身が関心を持ちなさいっていうことなんだけど。女性にはこれから命を産む自分の体に興味をもって女性として生まれたことに誇りを持ってほしいし、男性には命を産む女性のことを大事にしてほしいっていう思いも込めて。
S代さん そうね。
川口さん ある進学校の女の子が、生理が来ないから妊娠したかもって相談があったことがあって。「どうしてそう思う?」って聞いたら、漫画に描いてあったからっていうのよ。
K子さん ええ!
S代さん セックスの経験は?
川口さん ないのよ。精子と卵子が、っていう話をしたんだけど、それすら全然わかってなかった。これは大変だと思った。自分の体の事、妊娠ってどういうものか全くわかっていない人がいるのよ。
K子さん そういえば、セックスから2.3日しか経ってないのに妊娠してませんか?って相談が来たこともあったわね。
川口さん 望んでいない時に妊娠するっていうのは人生が大きく変わることでしょう?中学生高校生での妊娠は問題が多いと思うし、自分の体に興味がない若い人に危機感を感じる。一方で少子化で、卵子も年をとっていくことを知らないっていう女性も多いし。
S代さん 避妊に効果的なピルもなかなか広まらないわね。
川口さん 副作用がどんなものがあってとか知らないうちに怖がって自分で判断せずに避妊の方法を狭めてしまっているのはあると思う。性の事が男性主導な世の中だってすごく感じる。
男性主導の性を感じる場面はどんなことがありますか?
K子さん 産後のセックスが痛いっていう方も少数だけどいたね。
S代さん 会陰切開の傷口は痛いのよね。もう少し待たれたら?とはお話するけど。
川口さん セックスって、「相手の存在を認めてありのままのあなたを受け入れていますよ」という行為だと思うんだけどな。赤ちゃんを産むだけではない、愛を確かめたりする行為でしょう?そんなときに奥さんが痛がってるのにやめられないっていうのはおかしいなって思うわよ。思いやりを持ってほしい。
K子さん 実際にそれができてないから、旦那さんまかせのセックスになって避妊もせずに子どもができましたっていう家庭もあるものね。出産の退院指導でもこういう方法もありますよとか家族計画どうされますかとかは聞くけど、具体的にそこに私たちが短いかかわりで思いやりの部分まで介入できるかどうかっていうのが難しい。
川口さん それに出産にあわせてその話をするっていうのも変でしょ?だからもっと前、もっと若いうちから考えてほしい。生まれてからずっとつながっているものだから、家族のなでどんな愛情を受けてきたのかとか、どんな人に触れあったとか、生き方とか、そんなものが産後の痛いセックスに出てきちゃうんじゃないかと思う。でもやっぱ…そういうところまで言わないといけないんだろうか、私たち。
K子さん 道徳教育からね。
S代さん お互いが思いやりをもっていればいくらでも話し合って解決できることだし、すべてにおいてそれって通じることよね。
川口さん そう。自分も若い頃はそんなに真剣に考えてこなかったんだけど(苦笑)でも家族を持つってこういうことなんだ、子どもを持つってこういうことなんだっていうのを理解してほしいと今になって思う。