ペンネーム:やまねもとみ
2019年夏、新しい命を授かった。
その子は私たちにとってかけがえのない大切な存在となった―。
妊娠が分かったのは前年の年末。喜びも束の間、そこから大変な毎日が始まる。
妊娠発覚翌日のじんましんに始まり、恐ろしいほどの倦怠感、眠気、吐き気。
“とつきとうか”のほとんどをつわりで苦しんだ。
今になって思えば、それまで仕事で出張続きだった私に、「無理するなよ」とお腹の中からつついてくれていたのだろう。その間職場の皆さんにはかなり迷惑を掛けたが、温かいサポートをいただき、周囲に支えられながら無事に元気な女の子を授かることが出来た。
生まれてからは、夫が3ヶ月間の育休を取ってくれたこともあり、大変だが喜びと楽しさの連続でもあった(現在進行形だが!)。
心も身体も大変な時期に、ともに未知の体験が出来る“同志”がいることは心強かった。これは育休後にも生きているが、大変さを共感してもらえることで、かなり気が楽になっている。
妊娠・出産・育児期間を通して身に沁みて感じたことがある。赤ちゃんは「ただ居るだけで良い存在」だと。娘を連れていると、よく声をかけてもらえる。その時相手は決まって笑顔なのだ。子連れの移動や買い物は大変だが、人の優しさに触れる機会は格段に増えた。妊娠を機に初めて弱者になり、積極的に人に頼ることもできるようになった。
あれ、これって赤ちゃんだけじゃないな、本当は人は皆「ただ居るだけで良い存在」なんだ。
*ここで紹介しているエッセイは「産後ケアやわらかい風」が発行している「やわ風の吹く処」に寄稿されたものです。