
ペンネーム:おむすび
結婚して数か月後、私たちのもとに新しい命がやってきてくれました。
お互いの両親も大喜び。
「男の子かな、女の子かな。」「どんな名前にしよう。」と、その時は我が子が当たり前に生まれてくると信じて疑いませんでした。
「赤ちゃんの心臓が止まっています。」
何度目かの健診でそう言われたときは、頭が真っ白になり、現実を受け入れられませんでした。
大きな悲しみと同時に、命が生まれることの難しさを改めて思い知ったのです。
母は泣きじゃくる私を抱きしめて、「自分にはその経験がないから気持ちを分かってやれない、ごめんね。」と一緒に涙を流してくれました。
その言葉を聞いて、はっとしたのです。「もしも母が私と同じ経験をしていたら、自分はここにいなかったかもしれない。」と。
私が今こうして生きていることも本当に奇跡的なことだと改めて感じました。
その後も流産をくり返し、諦めようと何度も思いました。
でも、どうしてもお母さんになりたかった。
もう一度だけ頑張ってみよう!
そんな私のもとにやってきてくれたのは…。
「双子ちゃんですね。」
予想していなかった医師の言葉に、今度は違う意味で頭が真っ白に。
でも、これは神様がくれた大きなチャンス。
多胎妊娠のリスクの高さは不安でしたが、「この子たちに会いたい」その一心で、地獄のような悪阻や寝たきりの生活となっても、トツキトオカを必死に耐え抜きました。
そして帝王切開当日。
一人、二人と取り上げられ、手術台の上で「頼む、泣いてくれ…」と祈ったあの瞬間は、とても長い時間に感じられました。
そして、保育器から聞こえてきた力強い産声…涙が溢れて止まりませんでした。
初めて我が子と対面し、私の指をギュッと握る小さな掌のぬくもりを感じながら、「私はこの子たちに出会うために生まれてきたんだ。」と心から思いました。
おなかに命が宿ってもなかなか出産までたどり着けなかった私にとっては、産んだ瞬間がひとつの大きなゴールのように感じられましたが、そこからが本当の始まりでした。
授乳、おむつ、寝かしつけ…。
産後の身体に鞭を打って、双子と格闘する毎日。
泣き止まない我が子と一緒に涙を流すこともたくさんあります。
すべてが初めてで、不安で、うまくいかなくて、悩んで。
SNS上のキラキラした子育てとは程遠くて、自信なんてこれっぽっちもありません…。
子どもが0歳なら、親も0歳。
強い母ではないけれど、私は私でいい。この子たちと一緒に私たちの歩幅で進んでいこう。
今はそう思っています。
生まれてきてくれてありがとう。
そして私のお母さん、産んでくれてありがとう。